歴史家たちが警鐘を鳴らす、AIが不正確な歴史情報でYouTubeを溢れさせる事態に

AIがYouTubeの歴史コンテンツを牛耳り始め、本物のクリエーターを脅かしながら、人々が歴史的な出来事を理解する方法を変えています。

404Mediaが新たに発表した報告書によれば、YouTubeにはAIが生成した歴史に関するビデオが溢れかえっており、視聴者を混乱させ、実際の歴史家やクリエイターの作業を脅かしているとのことです。

プレスリリースでは、視聴者が午前3時に目覚めて、「眠りのための退屈な歴史｜中世のPEASANTSがいかに最も寒い夜を生き抜いたか、そしてそれ以上」というグリッチが入ったビデオを視聴した様子を報じています。”最後に、アン・ブーリンはある種の不滅を勝ち取った……FEEEEEEEEEEEEEEEE,”とAIナレーターは偽のイギリス訛りで語った

次の夜、視聴者は自分のホームページに数々の新チャンネルを発見しました。それには「Sleepless Historian」、「Boring History Bites」、「Dreamoria」が含まれていました。404 Mediaは、これらのビデオが3時間以上もの長さに及び、中世の病気やポンペイの売春宿などのマイナーなトピックをカバーしていることを指摘しています

しかし、これらの動画のほとんどは「緩い内容」で、浅い情報を繰り返すAIが生成した物語が主になっています。

「私にとっては完全に衝撃的です」と、人気の「History Time」チャンネルを運営するPete Kellyは404 Mediaに語った。「以前は動画を作るのに6ヶ月かかったが、今では誰でも同じことを1日でやり遂げられる。彼らが使うビジュアルは、しばしば完全に不正確だ。そして、この現象が至る所で広がっていることが恐ろしい」とKellyは付け加えました。

「それはまったく嫌いです、主に歴史的に不正確な点が…私たちは過去を見つめ、それが繊細であるべきで、証拠や論議がどこから来たのかを認識する必要があります」とケリーは404Mediaに語りました。彼は実際に自分が実在の人間であることを視聴者に示すために、自身がビデオに出演するようにさえなりました。

「古代アメリカ」のアマチュア人類学者ピートも同意見で、AIビデオはしばしば「曖昧で表面的な」内容や「スライドショー品質」の映像を生み出し、人間の研究の深みを再現できていないと404Mediaが指摘したことに言及しました。

「フレンチ・ウィスパラー」で知られる別のクリエイターは、404Mediaに対して、彼のYouTubeの視聴回数が過去1年間で60％減少し、この損失はAIコンテンツの急増に起因すると述べました。“一晩で特定のニッチがAIにより脅かされることもあります[…]何百万人ものフォロワーがいない限り、これは現実的なキャリア選択とは言えません。”と彼は語っています。

AIが生成したコンテンツは、YouTubeを超えて歴史的なコンテンツにすでに大きなダメージを与えています。Facebookでは、スパマーたちがMetaの収益化プログラムを利用して偽のアウシュヴィッツ収容所囚人の画像を作り出し、ユーザーを騙していました。

ソーシャルメディアのユーザーは、偽のストーリーを作り出します。それについてアウシュビッツ記念館のパヴェル・サヴィツキーは、「ここには誰かがストーリーを作り上げている…ソーシャルメディア上で起きている奇妙な感情のゲームのために」と語っています。これらのことは、これらのプラットフォームで頻繁に発生しています。

さらに広い意味で、研究者たちは警告しています。AIによって作られた歴史的なコンテンツは、偽の記憶を植え付け、人々が実際の出来事をどのように記憶するかを変える偽の歴史的な物語を作り出すことにより、脅威をもたらすと。

AIの洪水が押し寄せても、ケリーやピートのようなクリエイターたちはまだ諦めていません。「AIが川を汚しているかもしれないけど、私はその中で泳ぐか沈むかのどちらかだ」とピートは404メディアに語りました。「私は調査を非常に真剣に行っています […] これをAIがやっているのを見たことがない。いつもはAIの下手なイメージのスライドショーだ」とピートは付け加えました。

ケリーは締めくくりに、「私にとっては人類、そして世界の知識の状態に対してただ心配だけだ […] 」と述べました。